Experiment record

SwitchBot温湿度計Pro(CO₂センサー付き)のUSB給電による温湿度測定偏差の比較検証

USB→電池→USB再接続のrechallengeにより、SwitchBot温湿度計Pro(CO₂センサー付き)がUSB給電時に約+0.57℃の再現性ある温度正偏差を示すことを確認した。同じCO₂更新30分条件のまま電池へ切り替えると偏差はほぼ消失し、USB再接続で再発した。

概要

SwitchBot温湿度計Pro(CO₂センサー付き)W4900010を、同じリビング壁面に横並びで設置した2台のSwitchBot温湿度計と比較しました。

本Experimentでは、CO₂機の電源状態を意図的にUSB給電 → 単3電池駆動 → USB再接続と変更しました。後半の比較ではCO₂更新間隔を30分のまま維持し、電源状態だけを変えるrechallengeとしました。数値の正本は保持されているGoogle Sheets Measurementsであり、過去に写真から読み取った表示値は最終統計に使用していません。

保持データから独立再生成した主要結果は次のとおりです。

条件定常解析区間(JST)NΔT平均中央値SD
USB給電・CO₂ 30分8月22日 21:43–23:5828+0.57143℃+0.55℃0.03951℃
電池・CO₂ 30分8月23日 08:03–08:286+0.01667℃+0.025℃0.04082℃
USB再接続・CO₂ 30分8月23日 09:13–10:3818+0.57222℃+0.55℃0.08613℃

USB→電池の変化は**−0.55476℃、電池→USB再接続は+0.55556℃**でした。ほぼ対称な可逆変化が得られたことから、約+0.55~+0.60℃の偏差は単なる固定的な機器差ではなく、主としてUSB給電状態と内部自己発熱に関連すると考えられます。

USB→電池→USB再接続におけるΔTの時系列

選択したProcessed DataのΔT時系列です。USB切断後の低下とUSB再接続後の再上昇を示しています。主要統計の数値正本はフェーズ集計値です。

USB常時給電での通常運用には、操作者が**−0.6℃のフィールド補正を採用しました。湿度はトレーサブルな基準器がなく、機器固有RH差とUSB自己発熱寄与を十分分離できないため、補正を0 %RH**のままとしました。

実験の背景

操作者が提示した第三者比較では、温湿度計Pro(CO₂センサー付き)はUSB給電時に他のSwitchBot温湿度計より約0.5~0.8℃高くなり、電池駆動にすると差が小さくなるという報告がありました。この第三者情報は実験の動機となったSource claimであり、本ExperimentのEvidenceとは分離しています。

SwitchBot公式サポートにも関連情報があります。電池駆動時のCO₂更新は30分ごと、5 V / 1 AのType-C給電時は自動的に1分更新となり、給電時には更新間隔を変更できると説明されています。また、高頻度のCO₂動作による本体発熱がセンサー精度へ影響する可能性が案内されています。温湿度比較時には、複数機器を同じ場所に一定間隔で置き、安定時間を確保することも案内されています。

そこで本Experimentでは、より限定した因果関係を検証しました。CO₂更新間隔を30分に固定した状態で、電源だけをUSB→電池→USBと変更したとき、温度差が可逆的に変化するかを確認しました。

実験方法

使用機器と配置

3台のSwitchBot温湿度計を、リビングの同じ壁面に約5 cm間隔、ほぼ同じ高さで横並びに設置しました。

リビングのエアコンは連続運転しており、3台はほぼ同じ局所気流を受ける位置に置きました。校正証明付き標準温湿度計は使用していないため、本Experimentは絶対校正ではなく差分を用いたフィールド比較です。

比較器2には既に温度+0.1℃、湿度−2 %RHのアプリ補正が設定されていました。そのため解析では補正前相当値を次のように再構成しました。

T_comparison2_uncorrected = T_comparison2_displayed - 0.1℃

RH_comparison2_uncorrected = RH_comparison2_displayed + 2 %RH

2台の比較基準を次のように定義しました。

T_ref = (T_comparison1 + T_comparison2_uncorrected) / 2

RH_ref = (RH_comparison1 + RH_comparison2_uncorrected) / 2

さらに、

ΔT = T_CO2 - T_ref

ΔRH = RH_CO2 - RH_ref

としてCO₂機の相対偏差を評価しました。

データ正本と重複除去

数値正本は非公開Google SheetsのMeasurementsです。

人間オペレーターによる開始申告は2026-08-22 約18:35 JST、終了申告は2026-08-23 12:43 JSTです。保持ログ上で開始後最初の実取得ブロックは約18:38:17、終了申告の12:43分内で最後の保持ブロックは約12:43:18でした。

元シートには取得サイクル付近の重複レコードがあるため、再解析では取得対象日時 == 記録日時となる行だけを残し、3台の対象機器を抽出してΔT・ΔRHを計算しました。

センサーの物理サンプリング周期、SwitchBotクラウドの更新挙動、アプリ表示設定、約5分周期のGoogle Sheets API取得は同じものとして扱っていません。

実験フェーズ

  1. Phase A — USB・CO₂ 1分: 8月22日約18:35~21:13
  2. Phase B — USB・CO₂ 30分: 8月22日21:13~8月23日約06:24
  3. Phase C — 電池・CO₂ 30分: 8月23日約06:24~08:30
  4. Phase D — USB再接続・CO₂ 30分: 8月23日08:30~12:43

電池装着やUSB脱着直後は機器を手で扱い、温度も過渡状態にあります。これらの値は時系列には残していますが、定常統計からは除外しました。

実験ログ

8月22日 — USB給電で比較開始

Experiment開始時、CO₂機はUSB Type-C給電、CO₂更新1分でした。CO₂機は2台平均の比較基準より概ね**+0.5~+0.7℃**高く推移しました。

21:13 JSTにUSB給電を維持したまま、CO₂更新間隔を1分から30分へ変更しました。

夜間 — CO₂更新30分でもUSB時の偏差が継続

CO₂更新頻度を下げても温度差は消えませんでした。8月22日21:43~23:58の定常区間を保持データから独立再生成すると、ΔT平均は**+0.57143℃**でした。

この結果から、「CO₂を1分ごとに更新すること自体が約+0.6℃偏差の主要因」という仮説は弱くなりました。

8月23日朝 — 電池駆動へ変更

06:24 JSTに単3電池2本を装着し、CO₂更新30分を維持したままUSBを外しました。

温度正偏差は数十分かけて低下しました。実用上の応答は概ね次のとおりです。

08:03~08:28の定常区間では、ΔT平均は**+0.01667℃**まで低下しました。

08:30 — USB再接続rechallenge

08:30 JSTに、電池を装着したままUSB Type-Cを再接続しました。CO₂更新30分は変更していません。

その後、温度正偏差は数十分かけて再び増加しました。09:13~10:38の定常区間ではΔT平均**+0.57222℃**となり、測定分解能を考慮すれば先のUSB・CO₂30分条件と実質同じ値になりました。

独立再生成したフェーズ差は次のとおりです。

相対湿度

同じ差分解析で得た定常ΔRH平均は、

でした。

このパターンは、機器固有のRH差にUSB/自己発熱による追加影響が重なっている可能性と整合します。ただし、本Experimentだけから両成分をトレーサブルな絶対湿度補正値へ分離することはできません。

実験後のフィールド補正

USB常時給電で通常運用するため、操作者はCO₂機の温度補正を**−0.6℃**に設定しました。保持されたSwitchBot校正画面のスクリーンショットでも設定値を確認しています。

湿度補正は0 %RHのまま運用することにしました。

結論

今回の設置条件では、SwitchBot温湿度計Pro(CO₂センサー付き)W4900010はUSB Type-C給電時に、同一場所へ置いた2台のSwitchBot温湿度計の差分基準に対して、再現性のある約**+0.55~+0.60℃**の温度正偏差を示しました。

この偏差はCO₂更新を1分から30分へ変更しても残りました。一方、CO₂更新30分を維持したまま電池駆動へ変更するとほぼ消失し、USBを再接続すると約+0.57℃へ再発しました。保持されたGoogle Sheets測定値からの独立再生成でも、主要フェーズ統計とUSB→電池→USBのほぼ対称な変化を再現しました。

したがって、観測された温度差の主要因はUSB給電状態と、それに伴う内部自己発熱であると高い確度で推論されます。CO₂測定動作による小さな寄与まで否定する結果ではありません。

今回のUSB常用条件では、−0.6℃のフィールド補正は妥当です。ただし、これはトレーサブルな絶対校正値ではありません。将来、主運用を電池へ変更する場合は解除または再評価する必要があります。

湿度にも再現性のある相対差は観測されましたが、絶対RH補正値は確立していません。操作者は湿度補正0 %RHを維持しました。

証拠区分のまとめ

このExperimentで得られた情報のEvidence Stateは次のとおりです。

記録内容Evidence State本Experimentでの根拠
USB・CO₂30分でΔT平均+0.57143℃、電池で+0.01667℃、USB再接続で+0.57222℃となったOBSERVED記載した重複除去と比較基準再構成ルールにより、保持Google Sheets行から独立再生成した
約+0.55~+0.60℃偏差の主要因はUSB給電状態と内部自己発熱であるINFERREDCO₂更新30分でも偏差が残り、電池でほぼ消失し、同じ30分設定のUSB再接続で再発した
USB常用時の−0.6℃は妥当なフィールド補正であるINFERRED2つのUSB定常条件がともに差分基準より約+0.57℃で、実際の設定値もスクリーンショットで確認した
本Experimentから絶対湿度補正値は確立できないINFERREDΔRHは電源状態で変化したが、トレーサブルな基準器がなく、機器固有差と熱影響を分離できない

各Evidence Stateの意味はEvidence State(証拠状態)を参照してください。

運用上の示唆

今回の機器と設置条件では、CO₂更新間隔だけを変更してもUSB関連の温度偏差への対処にはなりません。USB常用を前提に決めた補正値は、電池運用へ変更した後も自動的に適切とは限りません。

また、USBの接続・切断直後に比較すると熱的過渡を測ってしまいます。本Experimentでは電源状態変更後、実用上40~60分程度を安定化時間として見込むのが妥当でした。

温度補正は表示・記録値へオフセットを加えるもので、内部発熱そのものを除去するわけではありません。温度を用いて算出される派生量を解析するときも、補正設定と電源状態を区別する必要があります。

実験データについて

元のGoogle Sheets測定値と非公開の解析ワークブックは再解析用Evidenceとして保持していますが、設置固有の識別子や本Experimentの結論に不要な住宅内の絶対環境テレメトリを含むため公開しません。

3つの定常解析区間と差分統計だけを含む公開用集計CSVを用意しています。

AIEL-2026-0006 phase-summary.csv

写真・スクリーンショットは機器識別、配置、設定、物理操作の補助Evidenceであり、上記統計値の数値正本ではありません。

情報源

メーカー公式情報はExperiment Evidenceとは分離した文脈上のSourceとして参照しました。

また、操作者提供のSwitchBot温湿度計比較動画(@gadget-homes、video ID 6FFztWCIVw0)では、USB給電時に近い温度差が報告されていました。この第三者報告は比較試験の動機にはなりましたが、本Experimentの数値やConclusionの算出には使用していません。

機械可読な実験記録

このExperimentの機械可読な正本記録をJSONとして公開しています。

AIEL-2026-0006 experiment.json

関連実験

基礎となる非公開SwitchBot/Google Apps Script住宅環境収集系は、SwitchBotとGoogle Apps Scriptによる住宅環境の長期収集・外部気象連携・解析(改訂版)で記録しています。

同じ温湿度計Pro(CO₂センサー付き)の収集経路を利用した別Experimentとして、SwitchBot CO₂をGoogle Apps Scriptで判定し家族LINEグループへ換気通知するがあります。